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無宗教葬をしたいなら知っておきたい、メリット・デメリット、費用、式次第

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多くの日本人は年始は神社へ初詣で、結婚式は教会で、そして葬儀はお坊さんが執り行う…というように、特定の信仰を持たずに時と場合で様々な宗教に触れています。それゆえ、自分を無宗教であると捉えて、葬儀を無宗教にしたいと考える人が増えています。しかし、実際の無宗教葬がどのようなものであるか、よく理解している方は、実はそう多くはありません。

そこで今回は、無宗教葬についてご紹介いたします。

 

 

 

無宗教葬とはどんな葬儀?全体に占める割合は?

無宗教葬は音楽を奏でたり献花をしたり、宗教にとらわれない自由な葬儀のことです

従来の葬儀は、仏式・キリスト教式、神道式など、宗教葬として行われてきました。これに対し、無宗教葬はこうした宗教儀式を行わない葬儀です。仏式の葬儀が8割程度を占めている一方で、無宗教葬は13%と全体に占める割合は1割強と少数派ではありますが、無宗教葬の件数は年々増えています(2018年 株式会社ニチリョク調べ)。この背景には、菩提寺を持たない人が仏式の葬儀を選ばなくなった、故人が無宗教葬を希望していた等の理由があります。
無宗教葬には特定の形式やマニュアルがないので、「自由葬」とも呼ばれています。宗教者を呼ばず故人の好きな音楽を演奏したり、歌を皆で歌う音楽葬も無宗教葬ですし、儀式がないという点においては直葬も無宗教葬のひとつと言えるでしょう。

 

 

無宗教葬のメリット・デメリット

無宗教葬は、宗教儀式の縛りがない一方で、それがゆえに難しさもあります。ここでは、無宗教葬について、そのメリットとデメリットをご紹介いたします。

無宗教葬のメリット1:宗教者へのお礼(お布施等)がいらない

無宗教葬では、儀式を取り仕切る宗教者がいません。それゆえ、宗教者へ御礼(仏教であればお布施、神道式であれば)がいりません。

 

無宗教葬のメリット2:内容を自由に決められる

無宗教葬は宗教儀式がないので、式を遺族の希望する内容にできます。故人らしさのある葬儀を希望するのであれば、無宗教葬は適していると言えるでしょう。

 

無宗教葬のデメリット1:お墓への納骨ができない可能性がある

菩提寺がある(家のお墓が寺の境内にある)と、無宗教葬で故人を見送ってしまうと、いざ納骨しようとしたときに、菩提寺から拒否されてしまいます。よって、菩提寺があるのであれば、仏式の葬儀をした方が良いでしょう。その一方で、公営霊園や宗旨宗派不問の民営霊園であれば、このような心配はいりません。

 

無宗教葬のデメリット2:親戚や友人からの反発があり得る

無宗教葬は、宗教儀式を行いません。そのため、従来の葬儀になじみのある人々からは反発をされたり、お叱りを受ける可能性があります。

そのような事態を未然に防ぐために、身内には前もって葬儀を無宗教葬で行いたいとの意向を伝えておくと良いでしょう。

そのためにも、自分の葬儀は無宗教葬にしたいと思ったときから、終活として準備を始めておくと良いでしょう。

 

無宗教葬のデメリット3:内容を決めるのが大変

無宗教葬は、内容を自由に決められる葬儀です。これは自分らしさのある葬儀をしたいと考える人にとっては、大きなメリットですが、無宗教葬にはしたいが、特段のこだわりがない場合には、式の間やることがなくて間延びしてしまう可能性もあります。

このような事態を回避するためには、自分の葬儀は無宗教葬にしたいと思ったときから、終活として自分の葬儀の準備を始めておくと良いでしょう。

 

無宗教葬のデメリット4:故人を偲ぶ機会がない

無宗教葬は、宗教者を呼ばない葬儀です。葬儀に宗教者がいないということは、その後の供養も自ら考えなければなりません。

 

仏式であれ、神道式であれ、キリスト教式であれ、葬儀後に宗教儀式を行うことで身内が集まって故人を偲ぶことで、故人の死を受け入れられるようになっていきます。

無宗教葬を希望するのであれば、「毎年命日には親戚で集まって、自分のことを思い出してほしい」などと、供養についての希望もエンディングノートに記載しておくと、残される家族にとっても安心です。

 

 

無宗教葬にかかる費用

無宗教葬にかかる費用は、仏式・キリスト教式・神道式といった宗教葬にかかる費用と大きく違うのでしょうか? 比較してみたいと思います。

 
葬儀の種類 仏式の葬儀 無宗教葬
  病院・安置施設からの搬送費用 病院・安置施設からの搬送費用
  葬儀場使用料 葬儀場使用料
 
  吸水シーツ 吸水シーツ
  ドライアイス ドライアイス
  役所手続き代行 役所手続き代行
  旅装束 旅装束
  生花祭壇 生花祭壇
  遺影 遺影
  焼香用具 焼香用具
  白木位牌 白木位牌
  霊柩車 霊柩車
  受付用品 受付用品
  テーブル花 テーブル花
  供花 供花
  火葬料 火葬料
  待合室使用料 待合室使用料
  収骨用品 収骨用品
  会葬礼状 会葬礼状
  返礼品 返礼品
  僧侶へのお布施・お車代  

 

この表を見ていただくと、無宗教葬と宗教葬で大きく違うのは、宗教葬では葬儀を執り行う宗教者へのお礼が、無宗教葬では不要(オレンジの部分)であることです。

その一方で、献花をする場合は献花用の花を用意する必要がありますし、プロの音楽家による献奏を希望したり、人生の歩み映像を上映するなど特別な演出を希望する場合には、別途費用が掛かります。

結論としては、無宗教葬にかかる費用は「内容次第」なので、葬儀代をあまりかけたくないから適しているとは言えません。

無宗教葬を希望するのであれば、終活として自分の希望する葬儀の内容を葬儀社に伝え、見積を取ってみることをお勧めいたします。

 

 

無宗教葬の式次第・流れはどうなっている?

無宗教葬には決められた式次第や流れがないので、献花をしたり献奏をしたりします

無宗教葬とは、宗教のきまりに則った儀式を行わない葬儀なので、決まった流れはありません。喪主をはじめとする遺族の希望する内容で執り行うことができます。

たとえば通夜は身内だけで集い、告別式にすることも可能です。

 

無宗教葬の例1

開式の挨拶

故人の好きだった音楽の演奏(CDまたは生演奏)

献花または焼香

参列者から故人様へ送るメッセージ(スピーチ)

棺へのお花入れ

喪主の挨拶

故人様との最後のお別れ

閉会の挨拶

出棺

無宗教葬の例2

開式の挨拶

弔電の紹介

棺へのお花入れ

喪主の挨拶

故人様との最後のお別れ

閉会の挨拶

出棺

 

 

無宗教葬の注意点は?

無宗教葬には仏式や神道式、キリスト教式葬儀では必要のない注意点がいくつもあります

宗教儀礼がない分、自由度が高い無宗教葬。それゆえに、仏式・神道式・キリスト教式の葬儀を行う時には必要がないことを検討・確認する必要がいくつかあります。

ここでは、無宗教葬を行おうとする前に確認すべきポイントを3つご紹介いたします。

 

(1)葬儀後、納骨するお墓は寺墓地(寺院の境内にお墓がある)?

もし、ご遺骨を納めるお墓が寺院の境内にあるいわゆる寺墓地だと、菩提寺に葬儀を依頼せず無宗教葬をすると、納骨を拒否される可能性が高いです。この場合はお寺に葬儀を依頼した方が良いでしょう。ただし、檀家であっても、公営霊園や宗旨宗派不問の霊園、共同墓地にお墓があるのであれば納骨に関する問題はありません。

 

(2)遺族や参列者に無宗教葬であることについて理解してもらえるか

一般的な宗教葬ではなく、無宗教葬で見送ってほしいと希望するのであれば、家族や親族にその旨理解してもらう必要があります。親戚の中に宗教者を呼ばない葬儀に対して最近は身内のみで執り行う葬儀が多数派なので、その身内が宗教者を呼ばない葬儀に反対すると、故人との最後のお別れの機会が揉め事の火種になる可能性もあります。

 

(3)無宗教葬の式次第…何をするか

無宗教葬には宗教儀式がなく自由度が高いので、見送られる故人らしさを出すことができます。その一方で特別な要望がない場合、遺族が献花以外に何をしたら良いのか困ることも。無宗教葬を希望するのであれば、通夜や告別式でやってほしいことをあらかじめ決めておき、エンディングノートに書いておく、または家族に要望を前もって伝えておくと、葬儀を出す段になったときに安心です。

 

(4)無宗教葬を依頼する葬儀社選び

葬儀を無宗教葬にするのであれば、葬儀社選びはとても大切です。なぜならば、宗教儀式がないので式の内容を全て決めなければなりません。その際にサポートをする葬儀社に提案力があると、満足度の高いお見送りをすることができます。 可能であれば、いくつかの葬儀社に無宗教葬をしたい旨を伝えて提案をしてもらい、比較検討し、依頼する葬儀社を決めて内容と費用の見積もしておくと良いでしょう。

 

 

無宗教葬に関心を持つ方は増えていますが、その実際を知らずに「無宗教葬にしたい」と希望だけを伝えていると、実際に葬儀を出すときに遺族が大変に困ってしまう可能性もあります。

無宗教葬とはどのようなものか理解したうえで、遺族が困らないよう具体的な要望を残すようにしましょう。

無宗教葬は、宗教儀式がないため自由度が高い一方で、丁寧に見送ったと思える式にするには、「何をするか」をしっかりと決めておく必要があります。内容を自由に決められるからこそ、事前に何をしたいか、どうすればできるかを明確にして事前に打ち合わせをしておくことが、後悔のない無宗教葬の秘訣です。

「自分の葬儀は無宗教葬にして欲しい」そう思う方は、余裕のあるうちに葬儀社へ連絡して相談するところから始めてみましょう。

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