近年、直葬が増えています。しかし、直葬がどのようなものであるか、ご存じでない方もいらっしゃり、葬儀の打ち合わせ時に話をしてみると、思っていたのと違うからと、直葬から家族葬や一般葬へと変更する方も少なくないのです。
この記事では、後悔なく故人様を見送るために知っておきたい「直葬」について、その定義とメリット・デメリットをご紹介いたします。
直葬とは
直葬では、逝去後24時間経過したのち、ご遺体を火葬します。宗教的な弔いは基本的に行わないところが、一般葬や家族葬と大きく異なるところです。
かつては、身寄りのない人や経済的に困窮している人のための福祉的サービスという位置づけでしたが、高齢化により故人様の人間関係が途切れ、参列者が減ってきたことから、身内だけの弔いの選択肢として選ばれるようになってきました。
直葬のメリット
- 1:費用が安く済む
- 通夜・葬儀といった儀式を行わないので、祭壇や式場使用料、焼香用具、写真に加え、参列者に渡す返礼品や通夜ぶるまいといった食事の費用がかからないので、費用を抑えることができます。
- 2:逝去から火葬までの期間を短くすることができる
- 通常、火葬場は9時から17時ごろまで受け付けをしていますが、通常の葬儀だと儀式の時間を取らなければならないので、火葬を申し込める時間帯に制限が出てきます。しかし、直葬の場合は儀式がない分、時間の融通が利くので、火葬場の予約が取りやすく、亡くなってから火葬までの間の期間を短くすることが可能です。 特に、火葬場が混み合っている首都圏ではメリットと言えるでしょう。
- 3:遺族の心身の負担を軽減できる
- 儀式を行わず、参列者への接待をする必要がないため、遺族の心身の負担を軽減することができます。
直葬のデメリット
- 1:お墓への納骨が出来ない可能性がある
- 檀家制度においては、菩提寺が檀家の祭祀を執り行うことを前提としています。だからこそ、檀家を供養できるよう、お寺の境内に檀家のための墓地が用意しているのですね。そのような関係にある菩提寺へ葬儀の導師を依頼せず、火葬のみ行った場合、お寺から納骨を断られる可能性があるのです。
家のお墓がお寺の境内地にある人が、直葬を希望するのであればその旨を理由と合わせて事前に菩提寺に伝え、相談しましょう。
なお、宗教不問の霊園や、公営霊園であれば、このような問題は起きません。 - 2:お別れの時間を十分にとれない
- 直葬は、宗教的な儀式を一切せず、火葬のみ行うので、火葬に立ち会えない人は最後のお別れが出来なかったことに傷つくかもしれません。
また、直葬は安置場所から直接火葬場へと搬送されますので、自宅安置でなければ納棺後に故人様に会えるのは、火葬の日です。
そのため、友人の多い方や、亡くなる直前まで多くの人と交流があった方が直葬を選ぶのであれば、火葬当日に立ち会えない人のために自宅への弔問を受け付けるようにした方が良いでしょう。 - 3:親族から反発される可能性がある
- 直葬は、かつては身寄りのない人や経済的に困窮している人向けの福祉葬的な葬儀形態でしたが、近年は新しいお見送りの形として選択する人が増えてきています。一方で宗教的な儀式を行わない直葬に抵抗がある人も少なくないので、親族間で揉める可能性もあります。
見送られる当人が直葬を希望しているのであれば、それを生前から明確に意思表示しておき、遺族が故人の遺志を受けて直葬にしているという形をきちんと示せるようにしておいたり、親族に前もって直葬にしたい理由を説明したりして、理解を得ておくことが大切です。
今は、お見送りの形も選べるようになってきていますし、新しい情報もどんどん入ってきます。その中から最適なものを選び、トラブルなく実行するには、自分達の要望を整理し、かつ菩提寺や親戚などの同意を得ることが大切です。