カテゴリ
タグ
  1. TOP
  2. 終活
  3. 親戚・友人の連絡先、SNS、サブスク、ネット証券・銀行…遺族が直面するデジタル遺産の問題と、その解決策

親戚・友人の連絡先、SNS、サブスク、ネット証券・銀行…遺族が直面するデジタル遺産の問題と、その解決策

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

近年のデジタル化の波は、私たちの生活を便利にする一方で、予期せぬ課題も生み出しています。
特に、親世代がスマートフォンやパソコンを日常的に使いこなすようになった現代において、親が亡くなった後、遺族は故人のデジタル情報という新たな問題に直面することが増えています。
故人のスマートフォンやパソコンには、親戚や友人との大切な連絡先、思い出の写真や動画、SNSのアカウント、毎月引き落とされるサブスクリプションサービス、そして財産に関わるネット証券や銀行の口座情報などが詰まっています。しかし、これらの情報にアクセスするための「パスワード」が分からなければ、遺族は途方に暮れてしまいます。
この記事では、遺族の視点から、故人のデジタル情報が「なぜ困るのか」を具体的な例を交えながら解説し、事前にどのような準備をしておくことが大切なのか、その解決策を提案します。

 

 

1. 連絡先へのアクセス:故人の人間関係を繋ぐために

問題点

故人のスマートフォンには、親戚、友人、仕事関係者など、多くの連絡先が登録されています。これらの連絡先は、まず、訃報の連絡の際に必要となります。 また、遺族が故人の人間関係を引き継ぎ、社会的な手続きを進める上で非常に重要です。

しかし、スマートフォンのロック解除パスワードが不明な場合、これらの連絡先にアクセスすることができません。
手帳などにメモを残している場合もありますが、
デジタル化が進んだ現代では、スマートフォンの連絡先帳が唯一の連絡手段となっているケースも少なくありません。
例えば、故人の親友に訃報を伝えたいと思っても、連絡先が分からず、長年疎遠になっていた他の友人経由でようやく連絡が取れた、というケースがあります。
また、故人が地域活動に参加していた場合、その関係者への連絡が滞り、後々の手続きに支障をきたすことも考えられます。

解決策

  • エンディングノートやパスワード管理ツールの活用: 故人が生前に、よく連絡を取る親戚や友人の連絡先をエンディングノートに書き残しておく、あるいはパスワード管理ツールに連絡先と紐付けてメモを残しておくことが有効です。
  • 信頼できる家族への情報共有: もし故人がパスワード管理ツールを利用している場合は、そのログイン情報を信頼できる家族に共有しておくことが望ましいです。
  • キャリアのサポートサービスの確認: スマートフォンキャリアによっては、故人の死亡後に一定の手続きを経ることで、連絡先データを取り出せるサービスを提供している場合があります。事前に確認しておくと良いでしょう。

2.SNSアカウント:故人のデジタルな足跡と向き合う

問題点

Facebook、Twitter、InstagramなどのSNSアカウントは、故人の思い出や交流の記録が詰まった場所です。遺族にとって、故人の投稿や友人とのやり取りは、故人を偲ぶ上で大切な手がかりとなることがあります。
しかし、これらのSNSアカウントのログインパスワードが不明な場合、アカウントにアクセスすることができず、故人のデジタルな足跡を辿ることができません。また、放置されたSNSアカウントは、なりすましや不正利用のリスクも孕んでいます。

例えば、故人のFacebookアカウントを閉鎖したいと思っても、パスワードが分からず、運営会社に問い合わせる必要が生じ、煩雑な手続きが必要になることがあります。
また、故人の投稿に心無いコメントが書き込まれるなど、遺族にとって精神的な負担となる可能性もあります。

解決策

  • エンディングノートへの記載: 故人が利用しているSNSアカウントと、可能であればログインIDやパスワードをエンディングノートに記録しておくことが有効です。
  • SNSの追悼アカウント設定: 一部のSNS(Facebookなど)には、故人のアカウントを追悼アカウントとして残す機能があります。生前に設定しておくか、死後に遺族が申請することで、アカウントを適切に管理することができます。
  • SNS運営会社のサポート窓口の確認: 各SNS運営会社は、故人のアカウントに関する手続きについてサポート窓口を設けています。パスワードが不明な場合の対応について、事前に確認しておくと良いでしょう。

3.サブスクリプションサービス:無駄な支払いを防ぐために

問題点

動画配信サービス、音楽ストリーミングサービス、オンラインニュース、クラウドストレージなど、現代社会には多くのサブスクリプションサービスが存在します。故人がこれらのサービスを利用していた場合、解約手続きを行わない限り、毎月料金が自動的に引き落とされ続ける可能性があります。
遺族は、故人がどのようなサービスに加入していたのかを把握し、不要なサービスを解約する必要があります。しかし、パスワードが分からなければ、各サービスにログインして契約状況を確認することができません。銀行口座の引き落とし明細から加入状況を推測することもできますが、全てのサービスを網羅することは困難です。

例えば、故人が全く利用していなかった動画配信サービスの月額料金が、数ヶ月にわたって引き落とされ続けていた、というケースがあります。
また、無料期間のみ利用するつもりだったサービスが、いつの間にか有料プランに移行しており、解約方法が分からずに困ってしまうこともあります。

解決策

  • 加入サービスのリスト化: 故人が生前に、加入している可能性のあるサブスクリプションサービスの一覧を作成しておくことが理想的です。契約日や支払い方法なども併記しておくと、よりスムーズに解約手続きを進めることができます。
  • クレジットカードや銀行口座の明細の確認: 故人のクレジットカードの利用明細や銀行口座の引き落とし明細を確認することで、加入している可能性のあるサービスを特定することができます。
  • 解約手続き代行サービスの利用: 一部の企業や弁護士事務所では、故人のサブスクリプションサービスの解約手続きを代行するサービスを提供しています。費用はかかりますが、煩雑な手続きを代わりに行ってもらうことができます。

4.ネット証券・銀行口座:大切な資産を守り、引き継ぐために

問題点

近年、多くの人がインターネットバンキングを利用したり、ネット証券で株式や投資信託を取引したりしています。
故人がこれらのサービスを利用していた場合、その口座には大切な財産が保管されている可能性があります。
しかし、これらのオンライン口座にアクセスするためのIDやパスワードが不明な場合、遺族は口座の存在を把握することすら困難です。
もし口座の存在が分かったとしても、パスワードがなければ取引履歴を確認したり、残高証明書を取得したり、払い戻し手続きを行ったりすることができません。
金融機関によっては、相続手続きに必要な書類や手続きが煩雑で、パスワードが分からない場合はさらに時間と手間がかかることがあります。
放置されたオンライン口座は、不正アクセスや詐欺のリスクにも晒されます。

解決策

  • 口座情報とログイン情報の整理: 故人が利用しているネット証券や銀行口座の情報をエンディングノートに記録し、可能であればログインIDやパスワードも記載しておくことが重要です。
  • 取引履歴や残高証明書の保管: 定期的にオンライン口座の取引履歴や残高証明書を印刷して保管しておくと、万が一ログインできなくなった場合でも、口座の存在を証明する手がかりとなります。
  • 金融機関への事前相談: 生前に、利用している金融機関の相続に関する手続きや、パスワード不明時の対応について相談しておくことも有効です。
  • 遺言書の作成: 遺言書にオンライン口座の情報や、相続に関する希望を具体的に記載しておくことで、相続手続きをスムーズに進めることができます。

5.その他のデジタル情報:写真、動画、クラウドストレージなど

問題点

スマートフォンやパソコンには、家族や友人との大切な思い出が詰まった写真や動画データが保存されていることが多くあります。また、クラウドストレージサービスを利用して、様々なデータを保管している場合もあります。
これらのデータにアクセスできなければ、故人の思い出を振り返ることができなかったり、必要な情報を取り出すことができなかったりする可能性があります。また、クラウドストレージに保存されている情報の中には、重要な書類やデータが含まれている可能性もあります。
例えば、故人のパソコンに保存されていた子供たちの成長記録の写真データが、パスワードが分からず見ることができなくなってしまった、というケースがあります。
また、故人が契約していたクラウドストレージに、遺産分割に必要な書類のデータが保管されていることに気づかず、手続きが遅れてしまうことも考えられます。

解決策

  • 写真や動画データのバックアップ: 故人が生前に、大切な写真や動画データをDVDや外付けHDDなどにバックアップしておくことを推奨します。
  • クラウドストレージの契約状況の把握: 利用しているクラウドストレージサービスとそのログイン情報を把握しておき、必要に応じて家族と共有しておくことが望ましいです。
  • 専門業者への相談: パソコンやスマートフォンのロック解除やデータ復旧を専門に行う業者も存在します。費用はかかりますが、どうしてもアクセスできない場合は検討する価値があります。

6.事前準備の重要性:家族で話し合い、備えること

エンディングノートの活用
エンディングノートは、自分の希望や情報を家族に伝えるための大切なツールです。デジタル情報に関しても、利用しているサービス、アカウント情報、パスワードなどを記録しておくことで、遺族の負担を大きく軽減することができます。
ただし、パスワードを直接書き込むことに抵抗がある場合は、パスワード管理ツールの利用を検討し、そのツールのログイン情報のみをエンディングノートに記載するといった方法もあります。
デジタル遺品整理サービスの検討
近年、デジタル遺品整理を専門に行う業者が増えています。これらの業者は、故人のデジタルデバイスの調査、アカウントの解約手続き、データのバックアップや復旧など、幅広いサービスを提供しています。遺族だけで対応することが難しいと感じた場合は、専門家の力を借りることも一つの選択肢です。
生前の家族との話し合い
最も重要なことは、生前に家族とデジタル情報の管理について話し合っておくことです。どのようなサービスを利用しているのか、どこに重要な情報が保存されているのか、パスワードはどのように管理しているのかなどを共有しておくことで、万が一の際に遺族がスムーズに対応できるようになります。

7.まとめ

親世代のデジタル化が進んだ現代において、遺族が直面する「パスワード問題」は避けて通れない課題です。
故人の大切な情報を守り、遺族の負担を軽減するためには、生前の備えが不可欠です。

この記事で紹介した解決策を参考に、エンディングノートの活用、パスワード管理の徹底、家族との話し合いなどを通じて、デジタル終活に取り組んでみてください。
事前の準備が、残された家族にとって大きな支えとなるはずです。

関連キーワード

特集


終活について全てわかる新しい終活本が好評発売中です。

終活をする世代にとっても、その家族にとっても役立つ情報が満載の一冊です。
終活が気になっているという方は、各地の書店をはじめ、Amazon、楽天でもお取り扱いがございますので、ぜひご一読ください。

ニュース

最新情報やお役立ち資料を自動受信

登録する(無料)

最新記事

イベント情報