犬や猫をはじめとする小動物の寿命は人間よりも短いので、ペットを迎えると、どうしても先立たれてしまうものです。ペットの遺体は、法律上では粗大ゴミ扱いなのですが、沢山の思い出を共にしているペットをゴミとして出すことは心情的にできない、という方が大半でしょう。
そこで、これまでペットと過ごしてきた日々に感謝し丁寧に供養するために知っておきたい、横浜市内におけるペットの火葬からお墓への納骨について、ご紹介いたします。
1.ペットをお墓に納骨するまでの流れ:ペットの火葬はどうする?値段の目安や気をつけたいポイントも紹介
ペットが亡くなったら、ご遺体を火葬する必要があります。その前に、ご遺体が傷まないよう、吸水シーツやバスタオルの上に置き、お腹のあたりをドライアイスや保冷剤で冷やしておきましょう。
さて、横浜市でペットの火葬をする場合には、2つのパターンがあります。一つは横浜市営の火葬場に依頼する、もう一つは民間のペット葬儀社の利用です。
横浜市営の火葬場に依頼する場合
横浜市営の火葬場でペットの火葬ができるのは、戸塚斎場のみです。戸塚斎場では、個別火葬と合同火葬が選べます。
遺骨をお墓に納骨したい場合は、「個別火葬」を選択する必要があります。合同火葬を選択すると、横浜市が提携するペット霊園に合祀されます。
- 戸塚斎場を利用するメリット:費用が民間のペット火葬場より安い
- 戸塚斎場を利用するデメリット:三が日と友引は閉場されるので、好きな時に火葬を依頼できるわけではない。
戸塚斎場での個別火葬について
ペットの遺骨を手元に残したい人は、個別火葬を選択する必要があります。
その場合、戸塚斎場(TEL045-864-7001)へ電話をし、開場日のうちから、日時を選択して予約します。
個別火葬は、火葬日の2開場日前から予約が可能です。火葬するペットの亡骸を納める棺として段ボール箱を用意する必要があるほか、ご遺体を自分で火葬場まで運ばなければならない、火葬費用の支払いは現金のみなどの制約があります。 ただし、費用面では民間の火葬サービスを利用するより安価です。
個別火葬の火葬料金は、重量によって異なります(重量は、ペットの重さに加えて、棺等の重さも含めた全ての重さです)。
戸塚火葬場での1体あたりの火葬料金一覧(個別火葬)
重量 | 火葬料金 |
---|---|
1キログラム未満 | 10,000円 |
1キログラム以上5キログラム未満 | 20,000円 |
5キログラム以上25キログラム未満 | 25,000円 |
25キログラム以上50キログラム未満 | 30,000円 |
※火葬料金には、火葬後の焼骨を納める骨壺の代金が含まれています。
※支払方法は、現金払いのみです。
戸塚斎場でのペットの合同火葬
ペットの遺骨が返還されなくても問題ないという方や、他の動物たちと一緒にお墓に入っていた方が良いと思う人は、合同火葬を利用することもできます。
申し込み方法は、(1)戸塚斎場の開場日へ直接持ち込む(2)事前に横浜市内各区の資源循環局へ引取回収を依頼 、の2通りあります。
個別火葬との違いは、遺骨は持ち帰れないこと、遺骨はペット用合祀墓へ埋葬(参拝も可能)されること、戸塚火葬場にご遺体を直接持ち込む場合は事前予約は不要、の3点です。
一体あたりの火葬料金
持込手段 | 火葬料金 |
---|---|
戸塚斎場への直接持ち込み | 3,000円 |
出張回収 | 6,500円 |
民営のペット葬儀会社へ依頼
民間のペット葬儀会社は、戸塚斎場でのペット火葬に比べ、サービス面でもスケジュール面でも選択肢が多く用意されています。居住地の近くでサービスを提供している業者を複数探し、比較検討したうえで依頼すると良いでしょう。
民間のペット葬儀会社が提供するペット火葬の種類(一例)
- 個別火葬
- 他のペットとは別に単独で火葬する。ご遺体はペット葬儀社が迎えに来てくれる。ご遺骨はペット葬儀社スタッフが集め、後日返還してくれる。
- 立会火葬
- 他のペットとは別に単独で火葬する。火葬時に飼い主ほか家族も立ち合う。火葬前に最後のお別れができるほか、遺骨も自ら拾うことができる。
- 訪問火葬
- ペット葬儀社が移動火葬車で希望の場所へ訪問し、火葬する。遺骨は返還される。
- 合同火葬
- 複数のご遺体を一緒に火葬する。遺骨は返還されない(提携の合祀墓に埋葬)。
民間のペット葬儀社の料金相場(一例)
動物の種類 | 小鳥、ハムスター、リス、モルモット、フェレット等 | 猫、ウサギ、超小型犬(チワワ、トイプードル、ポメラニアン等) |
---|---|---|
個別火葬 | 17,000円~ | 21,000円~ |
立会火葬 | 19,000円~ | 23,000円~ |
訪問火葬 | 15,000円~ | 18,000円~ |
合同火葬 | 12,000円~ | 16,000円~ |
※サービス内容の詳細は提供業者によって異なりますので、候補の業者が選定できたら、それぞれに詳細を問い合わせてみることをおススメします。
2.値段はどれぐらい?飼い主とペットは一緒に入れる?…ペットのお墓はどんなものがある?【横浜市の場合】
ペットの遺骨が返還されたら、今後の供養のことを考えなければなりません。人の場合だと四十九日までに納骨したいとのこだわりをお持ちの方もいらっしゃいますが、ペットの場合は宗教による決め事は基本的にはないので、自分や家族の気持ちに従って今後のことを考えていくと良いでしょう。
選択肢としては、以下の4つのパターンがあります。
- (1)ペットも入れる霊園・納骨堂
- (2)ペット専用霊園・納骨堂
- (3)自宅の庭に埋葬
- (4)手元供養
以下でそれぞれ詳しくご紹介いたします。
1.ペットと人間が一緒に入れる霊園・納骨堂
▲横浜三保浄苑の「ペットと一緒墓苑」には、一つの区画に人間のお墓と動物用のお墓が一緒になった墓石が建てられる
いわゆる宗旨宗派を問わない民間の霊園であっても、「人間と獣を同じ墓に入れることはできない」と考える経営主体の寺院が多いため、ペットと人間が一緒に入れる霊園はまだ少数派といえます。また、利用者でもお墓に動物の遺骨があるのを好まない人もいます。
しかし、ペットブーム以降、ペットも家族の一員と考える人が増えたことで、家族としてペットも一緒のお墓に入れたいというニーズが高まってきています。それを受け、ペットと人間が入れるお墓も、徐々に増えてきています。
人間とペットが一緒に入れるお墓には、いくつかの種類があります。
「飼い主とペットが一緒のお墓に入れる」と人気が高いのが、ペットと人間が、生前と同様に一つ屋根の下に眠れるタイプのお墓です。横浜三保浄苑にある「ペットと一緒墓苑」では、上の画像にあるように、人間用の墓石とペット用の墓石が合体したような形をしており、墓石に人間の名前だけではなく、ペットの名前も残すことができることから、人気を集めています。このタイプのお墓であれば、故人様と亡くなったペットのお墓参りを同時にできるというメリットもあります。ただし、ペットと一緒に入れるタイプのお墓の価格は、他のペットのお墓に比べると比較的値段が高いです。
また、同じ墓石の下(または中)ではないものの、人間向けの墓地と同じ敷地内にペット用のお墓を設けているところもあります。このタイプのお墓は、もともとその霊園にお墓を持っていた方が、一緒のお墓に入るわけではないけれど、ペットの存在を身近に感じられることから選ばれることが多いようです。このタイプのペット用のお墓の場合は、比較的値段が安いです。また、人間の入るお墓がある霊園内にあるペットのお墓は、自治体から経営許可をもらった法人なので、破たんの不安はないといえるでしょう。
2.ペット専用霊園・納骨堂
ペット専用霊園・納骨堂には人間のお墓とは異なり法的な縛りがなく、民間企業が運営することも可能です。また、開業するうえで自治体からの認可も不要です。
そのため、過去にはペット霊園の運営企業が破たんし、霊園が閉鎖されたこともありました。大切なペットの終の住処ですから、交通アクセスや設備、雰囲気だけではなく、希望するペット霊園や納骨堂が安定した法人が運営しているかどうか、よく確認した方が良いでしょう。
ペット専用霊園・納骨堂には、以下のようなものがあります。
- 外墓地タイプ
- 地下に作られたカロート(納骨室)の中に骨壺をおさめ、その上に墓石を建てるタイプのものや、骨壺ごとに埋葬するタイプのもの、屋外に設けられた納骨室に骨壺を納めるものがあります。
カロート(納骨室)に骨壺を納め墓石を建てるタイプのものは、複数の骨壺を納めることができるので、沢山のペットと一緒に暮らしている人に向いていると言えるでしょう。 - 納骨堂タイプ
- 箱型に区切られた棚の一角に骨壺を納めるタイプのものや、大きな納骨壇の上に写真を並べるタイプのものがあります。棚の大きさによっては、遺影や愛用のおもちゃ・散歩のときに使っていたリードなどを入れることもできます
納骨堂タイプのメリットとしては、天候に左右されずお墓参りをすることができるところがあります。中には、納骨堂の前にテーブルとイスがあり、ゆったりとした空間で心行くまでお参りできるところもあります。
一方、デメリットとしては、納骨堂の場合、利用期限があり、長期間の利用を希望する場合、追加の利用料が必要な場合があることです。 - 永代供養墓タイプ
- モニュメントが設置された納骨室の中に遺骨を納めます。骨壺のまま納められるものもあれば、骨壺から遺骨を取り出して合祀するタイプのものがあります。納骨室の外側にペットの名前が彫られた銘板や写真を焼き付けたタイルを貼って名前や姿を永遠に残すことのできるタイプのものもあります。
3.自宅の庭に埋葬
人間のお墓は、墓地埋葬法という法律の規定により、自宅の庭に新たに墓を建てることはできませんが、ペットの場合は法律による決まりがないので、庭に埋葬できます。その場合は、骨壺が納まるよう十分な深さの穴を掘り、遺骨を納めた後はしっかりと土をかぶせるようにしましょう。また、家から庭への導線近くなど、人通りの多いところは避けた方が良いでしょう。
ペット用の墓石や墓標、納骨室はホームセンターでもインターネットでも購入することができますので、そのペットらしさのあるお墓作りをしてみてください。
4.手元供養
ペットのご遺骨は、必ずお墓や納骨堂に納めなければいけないわけではありません。遺骨を「手元供養」として、自宅に置いておくのも一つの手です。ペット用分骨壺や、骨壺カバーなど、家の中に置いても、骨壺とと感じさせないデザインのものが多数ありますので、それらを利用するのも良いでしょう。いつまでもペットの存在を身近に感じたい人にはおススメです。
また、少し手元供養とは異なりますが、プランターでペットの樹木葬ができるキットも販売されています。ペットの遺灰から新たな命である樹木を育てるのも良い供養と言えるでしょう。
今回は、ペットが亡くなった後火葬をし、埋葬するまでの流れと、それぞれのポイントについてご紹介いたしました。ペットは自分で終活をすることができないので、飼い主が出来る限りのことをしてあげたいものですよね。今回ご紹介したこと・ものを活かしていただければ幸いです。