
株式会社鎌倉新書の調査によると、2018年に一般墓を購入した人の平均購入価格は全国で154万1751円ですが、東京都は163万6585円だったそうです。関東地方では158万1341円なので、東京都は突出してお墓が高いです。
しかし、「今あるお墓が遠くてお参りできない」という理由から、都内にお墓を買いたいと思う人が増えているのも事実です。
今回は、なぜ東京のお墓はこんなにも高くなるのか、そして都内にお墓を買うにはどうしたらよいか、についてご紹介いたします。
お墓の値段の構成
お墓の価格は、「永代使用料+納骨室・外柵・石塔(それぞれお墓を構成する部品)費用+工事費用+彫刻費(墓石や墓碑に彫りこまれる文字や絵の彫刻費)」で構成されています。
- 永代使用料
- 土地の代金です。広さや向きによって価格が変わります。
- 石塔・外柵代
- 石種や大きさにより価格が異なります。また、デザインが凝ったものである場合、その加工費も加算されます。
- 彫刻代
- 墓石と墓碑に文字やイラスト等を彫刻をする費用です。デザイン性の高い彫刻の場合、彫刻代にも追加料金がかかります。
- 工事費用
- 墓所に外柵や墓石、墓碑を区画内に建てこむ費用です。
東京都内のお墓が高い理由
各要素の中で変動幅が大きいのが、永代使用料と石塔であり、特に他地域と比べ価格の高さが顕著なのが永代使用料です。
その理由は、永代使用料は、地価と連動しているところにあります。そのため、東京都内の永代使用料は周辺のそれより高くなるのです。
たとえば、都営霊園の場合、谷中霊園は1㎡の基準価格が187万7000円、染井霊園は170万1000円、青山霊園に至っては、275万8000円です。これは1㎡あたりの基準価格であり、2019年度で募集があったのは1.5㎡以上の区画なので、実際の使用料はもっと高額です。
民営の霊園でも、やはり都心に近くなればなるほど、永代使用料は高くなります。
それでも都内にお墓を持つには
しかし、都営霊園の使用料が1㎡187万円であるにもかかわらず、冒頭に書いたとおり、霊園購入者の平均購入価格はこれを下回っています。
理由の一つは、民営霊園の商品構成にあります。民営霊園や寺院墓地の永代使用料には、1㎡200万円を超える墓地もあるのですが、墓石建立にかかる費用も含めると金額が高くなりすぎることから、一区画当たりの面積を小さくし、墓石を含め100万円程度に収まる墓所を用意するようになってきています。また、高島平浄苑にある永代供養墓「縁(えにし)の泉」や多摩聖地霊園の樹木葬・自然葬など、より低価格・小規模なタイプのお墓を用意する霊園やお寺も増えてきていますので、東京都内であっても、買いやすい価格帯のお墓が増えていると言えるでしょう。
さらに、東京都内では、港区の赤坂一ツ木陵苑のように、外のお墓と同じような石塔を前にしてお参りできる自動搬送式納骨堂も増えてきています。価格も100万円程度と、屋外の墓所に墓石を建立する一般的なお墓よりぐっと手頃です。
東京都内に住んでいる方が、「家の近くにお墓を買う」のであれば、従来のお墓のかたちにこだわらず、「どのような供養をしたいか」を念頭にお墓選びをすることをおすすめいたします。