家族葬とは?どの範囲まで呼べる?参列マナーや注意点も紹介

「家族葬」とは、近年増加している小規模な葬儀形式のひとつで、家族や親しい関係者のみで静かに見送るスタイルです。
近年、日本では高齢化やライフスタイルの多様化により、従来の一般葬から家族葬への移行が進んでおり、葬儀件数全体の約3〜4割を占めるようになってきました(※2023年時点、民間調査より)。
この記事では、「家族葬とは何か?」の基本から、呼ぶべき範囲、参列時のマナー、準備時の注意点まで、わかりやすくご紹介していきます。
1.家族葬とは
「家族葬」とは、ご遺族やご親族、特に親しかった方々といった、限られた範囲の関係者のみで執り行う小規模な葬儀形式です。
参列者の範囲を限定することで、形式や慣習にとらわれすぎず、故人を偲ぶ時間を大切にしたいというニーズから広まりました。
2.家族葬の定義と他の葬儀形式との違い
家族葬が他の葬儀形式とどう異なるのか、その定義と主な違いを見ていきましょう。
他の葬儀形式との主な違い
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葬儀形式 |
参列者の範囲 |
葬儀の規模 |
香典の扱い |
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家族葬 |
家族、親族、ごく親しい友人のみ |
小規模 |
基本は受け取ることが多い |
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一般葬 |
家族、親族、友人、知人、会社関係者など、幅広い関係者 |
中〜大規模 |
受け取るのが一般的 |
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一日葬 |
通夜を行わず、1日で葬儀を執り行う形式。近年は家族葬や一般葬でも増えてきている |
小規模 |
基本は受け取ることが多い |
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直葬(火葬式) |
家族・親族のみ |
最小限(火葬のみ) |
基本は受け取ることが多い |
【一般葬との違い】
最大の相違点は参列者の範囲です。
一般葬が、故人と生前関わりのあったすべての方を対象とするのに対し、家族葬は遺族が「呼ぶ人」を限定する点が異なります。この限定された参列者により、弔問客への対応に追われることが少なく、静かに故人を見送れるのが家族葬の利点です。
【一日葬・直葬との違い】
一日葬は通夜を省略し、告別式から火葬までを1日で執り行う形式です。
直葬(火葬式)は通夜や告別式といった儀式を一切行わず、逝去後24時間経過後に火葬のみを行う形式です。基本的には通夜と告別式を2日間かけて行う儀式が一般的であり、儀式を省略するかどうかで区別されます。
3.家族葬が増えている理由と社会的背景
近年、家族葬が選ばれるケースが増加傾向にあるようです。これは、個人の価値観や社会構造の変化など、いくつかの要因が背景にあると考えられます。
- 遺族の心理的・肉体的負担の軽減
- 一般葬では、弔問客への対応(挨拶、受付、会計など)に多くの手間と労力が必要になります。家族葬は参列者を限定するため、遺族はその負担を大幅に減らし、心身ともにゆとりを持って故人を偲ぶことに集中できます。
- 費用の明確化と経済的負担の軽減
- 一般葬では、予想外に多くの参列者が訪れた場合、返礼品や飲食費などのコストが膨らむ可能性があります。家族葬は規模が小さいため、事前に費用を把握しやすく、経済的な負担を抑えられる場合があります。
- 「終活」への意識の高まり
- 生前に自分の葬儀について考え、準備を進める「終活」が広がり、形式よりも故人らしさや想いを反映した自由な葬儀を求める人が増えています。
- 社会的な変化
- 高齢化の進行、未婚率の増加、近隣住民や会社との関係性の希薄化といった社会構造の変化も、大規模な葬儀の必要性を減少させている要因です。
4.家族葬に呼ぶ範囲とは?誰までが一般的か
家族葬の最大の特徴は、参列者の範囲を限定することです。しかし、この「限定する範囲」について、明確な定義があるわけではありません。一般的には、ご遺族が「故人との別れを静かに送りたい」という意向に基づき、参列者を決定します。
5.親族の範囲の考え方と例
家族葬における「親族」の範囲は、遺族の考え方によって異なりますが、一般的には以下のいずれかの範囲を目安とすることが多いようです。
- 最も狭い範囲:故人の配偶者、子、孫といった二親等以内の近親者のみ。
- 一般的な範囲:故人の二親等以内の親族に加え、三親等(曾孫、甥・姪、叔父・叔母など)までの親族。
- 故人と特に親しかった方を含む範囲:親族の範囲に加え、故人の生前の希望や、遺族の判断で特に親交の深かった友人・知人を少数含めるケース。
この線引きは、故人やご家族の意向が最も尊重されるべきです。特に親族間では、「どこまで呼ぶか」について、事前にしっかりと話し合い、合意を得ておくことが、後々のトラブルを防ぐ上で重要です。
呼ぶ範囲を検討する上でのポイント
- 故人の生前の希望:故人が「誰に参列してほしいか」「誰には負担をかけたくないか」といった希望を持っていたかを確認することが大切です。
- 親族間の関係性:たとえ三親等以上の関係であっても、日頃から交流があり、故人との関係が深かった親族には参列してもらう方が、かえって遺恨を残さない場合があります。
- 遺族の負担:参列者が増えれば、当然ながら受付や接待などの負担が増えます。静かに見送りたいという家族葬の目的を優先するなら、範囲は絞り込むべきです。
6.呼ばない方への配慮と対応方法
家族葬を選択する際、最も慎重になるべきは、参列をご遠慮いただく方への配慮です。特に、故人の会社関係者、友人、遠い親戚などには、丁寧な対応が求められます。
家族葬を行う旨の通知方法
家族葬を執り行うことを知らせる際は、以下の点を明確に伝える必要があります。
- 家族葬であること:一般の参列をご遠慮いただく旨をはっきりと伝えます。
- 葬儀の日時・場所:親族以外の参列は辞退する場合、場所や日時の詳細を伏せるのが一般的です。
- 香典・供花・弔電の辞退:弔意を受け取るか辞退するかを明確にします。家族葬では、遺族の負担軽減のため、これらを辞退するケースも多い傾向です。
- 故人が亡くなった事実を知らせるタイミング:
- 葬儀前に知らせる:親族以外には、家族葬で執り行うため参列は辞退する旨を伝えます。これにより、後日個別に弔問に来られるのを防ぎやすくなります。
- 葬儀後に知らせる:葬儀が全て終わってから、事後報告として逝去の事実と家族葬を終えた旨を伝えます。
葬儀後に弔問を希望された場合の対応
葬儀を終えた後、訃報を知り、弔問を希望される方がいる場合もあります。
- 弔問の受け入れ:弔問を受け入れる場合は、事前に日程や時間を調整し、遺族の負担にならない範囲で個別に弔問の場を設けます。この場合も、遺族の意向を尊重し、香典や供物を受け取るか辞退するかを明確に伝えます。
- 辞退する:もし遺族が静かに過ごすことを希望する場合は、「落ち着いたら改めてご連絡いたします」「お気持ちだけいただきます」などと丁重にお断りします。
弔問客への対応は、故人との関係性や、遺族の状況を踏まえて柔軟に対応することが肝要です。
7.家族葬の参列マナーと服装の注意点
家族葬に参列する場合、一般葬とは異なる特有の配慮が必要となります。
特に「参列者の範囲が限定されている」という特性から、遺族の意向を最優先にした行動が求められます。

8.服装・香典・挨拶など基本的なマナー
家族葬であっても、故人を見送る場としての基本的なマナーは一般葬と変わりませんが、いくつかの点で注意が必要です。
- 服装(平服の指示がない場合)
- 親族として参列する場合、一般葬と同様に正喪服(準喪服)を着用するのが基本です。男性はブラックスーツ、女性はブラックフォーマルを選びます。
- 服装(平服の指示があった場合)
- 遺族から「平服でお越しください」と案内があった場合でも、普段着を指すわけではありません。これは「略喪服」を意味し、地味な色のスーツやワンピースを着用します。派手な色や柄物、光沢のある素材は避けましょう。
- 香典
- 家族葬では、遺族が香典を辞退するケースが多いため、事前に案内に目を通し、辞退の意向が明記されている場合は香典を用意しないのがマナーです。
- もし辞退の意向がない、あるいは確認できない場合は、念のため持参し、受付で「お気持ちだけいただきます」と辞退された場合は、無理に渡すのは控えましょう。
- 供花・供物・弔電
- 香典と同様、遺族が辞退の意向を示している場合は、絶対に送らないことが重要です。
- 辞退の意向がない場合でも、まずは遺族に確認し、会場のスペースや遺族の負担にならないかを確認してから手配します。
- 受付での挨拶
- 家族葬であっても、受付があれば記帳し、遺族に「このたびはご愁傷様でございます」と簡潔にお悔やみの言葉を述べます。長々と話し込んだり、故人の死因を尋ねたりするのは控えましょう。
9.参列者としての心構えや気をつけたいこと
家族葬に参列する際に最も大切なのは、「遺族の意向を尊重する」という心構えです。
- 故人の死を他言しない
- 家族葬は、遺族が限られた人だけで静かに見送りたいという思いから選ぶ形式です。参列したことをSNSなどで発信したり訃報を無関係な人に広めたりすることは、遺族のプライバシーを侵害し、迷惑をかける行為にあたります。
- 静かに見送ることを優先する
- 故人との別れを惜しむ場であるため、自分の感情を表に出しすぎたり他の参列者に話しかけたりして、会場の雰囲気を乱さないようにしましょう。あくまで遺族が静かに故人と向き合う時間を尊重することが大切です。
- 後日の弔問は控える
- 家族葬に呼ばれなかった人が後日弔問に来ることは、遺族の負担を増やすことにつながります。同様に、参列した側も後日改めて弔問しようと申し出るのは控えましょう。遺族から「後日改めて」といった案内があれば、それに従うようにします。
- 長居をしない
儀式が簡略化され自由な雰囲気になりがちな家族葬ですが、遺族はそれでも心身ともに疲弊している場合が多いです。式の前後や会食の場などで長居することは避け、短時間で静かに退席することを心がけます。
10.家族葬の準備で気をつけたいポイント
家族葬は一般葬に比べて自由度が高い形式ですが、その分、準備段階での配慮や決定事項が多くなります。
特に葬儀後のトラブルを避け、円滑に執り行うためには事前の準備が非常に重要です。
11.トラブルを避けるための事前の相談と情報共有
家族葬を選択する上で、最もトラブルになりやすいのが、「誰を呼ぶか/呼ばないか」の線引きと、「香典をどうするか」という点です。
- 親族間での合意形成
- 家族葬の規模や参列範囲について、まずは近親者(二親等以内など)でしっかりと話し合い、合意を得ることが不可欠です。
- 特に年配の親族の中には、一般葬が当たり前という意識が強く、家族葬という形式や呼ばれないことに不満を持つ人がいる場合があります。その場合は家族葬を選んだ理由(故人の遺志など)を丁寧に説明し、理解を求める努力が必要です。
- 参列辞退者への情報共有の徹底
- 訃報を知らせる際、親族以外の関係者には「家族葬で執り行うため、参列、香典、供花などは全て辞退させていただきます」という旨を、明確かつ丁寧に伝えます。
- 弔意を受け付けてしまうと、辞退したはずの方が後日弔問に来るなど、結果的に遺族の負担が増える可能性があります。このため、辞退する際は「全て」辞退する姿勢を貫くことが大切です。
- 葬儀社との連携
弔問客への対応方針がブレないよう、香典や供物の辞退の意向を事前に葬儀社に伝えておき、受付対応も含めて連携しておくことが重要です。
12.「終活」としての事前準備とチェックリスト
故人として、あるいはご自身の葬儀として、事前に準備をしておくことは遺された家族の負担を大きく軽減します。
このような事前準備は、まさに「終活」の一環です。
終活の一環として家族葬の準備を進める際は、以下の項目をチェックリストとして活用すると良いでしょう。
|
準備項目 |
チェック内容 |
目的 |
|
葬儀の形式 |
家族葬を希望する旨を明記 |
遺族が迷うことなく故人の意向を尊重できるようにする |
|
参列者の範囲 |
呼んでほしい人のリスト、呼ばなくてよい人の意向を明確にする |
遺族が「誰を呼ぶか」で悩む負担を軽減する |
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葬儀費用の目安 |
予算の上限と、どこまで費用をかけるかを決定する |
経済的な負担や、費用のトラブルを未然に防ぐ |
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葬儀社 |
葬儀を依頼したい社名を決めておく |
葬儀手配時の情報収集や比較検討の労力を省く |
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香典・供物 |
香典や供花・供物を辞退するかどうかを決めておく |
遺族が弔問対応で疲弊するのを防ぐ |
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生前の情報 |
連絡してほしい友人・知人の連絡先リストを作成する |
訃報を伝えたい人に確実に情報を届けられるようにする |
このような準備を整えておくことで、遺族は「故人の希望どおりに見送れた」という安心感を得ることができ、後悔のないお別れの時間を持つことにつながります。
13.まとめ
家族葬は、従来の一般葬とは異なり、ご遺族やご親族、特に親しかった方々といった限定された関係者のみで執り行う小規模な葬儀形式です。
近年、この形式が増加傾向にある背景には、遺族の精神的・肉体的な負担の軽減や、故人との別れの時間を大切にしたいというニーズの高まり、さらには「終活」意識の広がり といった社会的な変化があります。
家族葬は、個々の故人と遺族の想いを反映しやすい形式ですが、その選択が故人との関係者間での不満やトラブルにつながらないよう、丁寧なコミュニケーションと事前の準備を心がけることが大切です。
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