
葬儀は大切な人に最後のお別れを告げるためなセレモニーです。
かつては自宅で近所の人に手伝ってもらいながら執り行われることが殆どでしたが、近年の葬儀は殆どが葬儀社に依頼して執り行われるようになったこと、また葬儀に詳しい人が身近にいる環境ではなくなったこと、更には葬儀に関する情報が増えてきたことでむしろトラブルが増加しています。
特に首都圏では、多忙な生活環境や限られた土地事情、さまざまな家族構成が背景にあり、葬儀に関する悩みや問題が起こりやすい状況です。
本記事では、直葬、家族葬、葬儀社とのトラブル、さらには家族や親戚間でのトラブルに焦点を当て、それぞれの事例や対策について解説します。
1.直葬に関するトラブル
直葬とは、通夜や告別式を省略し、火葬のみを行う簡素な葬儀形態です。儀式がないため、金額面では抑えられる一方で、ごく限られた身内のみで執り行われることが殆どです。そのため、下記のようなトラブルが発生することがあります。
- 直葬を選択した際、親族が「故人をしっかりと見送っていない」と感じ、不満を抱くことがあります。特に高齢の親族や故人と親交の深かった人々にとって、通夜や告別式がないことに納得がいかない場合が多いです。
対策: 事前に家族全員で話し合い、直葬を選ぶ理由や状況を共有することが重要です。また、親族には後日、故人を偲ぶ会を開催するなどしてフォローする方法もあります。 - 葬儀社との行き違い
直葬では簡素なサービスを希望するものの、葬儀社によっては付帯サービスを強く勧められたり、不明瞭な料金が発生したりするケースがあります。
対策: 契約前に見積書を詳細に確認し、不要なサービスを明確に断ることが必要です。また、複数の葬儀社から見積もりを取り比較することで、トラブルを防げます。
2. 家族葬に関するトラブル
家族葬は、家族や親しい人々のみで行う小規模な葬儀ですが、それゆえ、他の葬儀にはないトラブルが起きる傾向があります。
- 参列者に関するトラブル 「家族葬」にしたいと限られた人にしか身内が亡くなったことを伝えなかったために、親しい友人や近隣の住民から、「なぜ教えてくれなかったのか」「最後に挨拶したかった」と不満を言われることがままあります。
対策: 招待範囲を事前に明確にし、その意図を親族や友人に丁寧に説明しましょう。参列をしない人に対しては、葬儀までの間に面会をできるようにして故人との最後のお別れの時間を設けたり、後日お礼状を発送したり、故人を偲ぶ会を通じて対応するのも一つの方法です。 - 規模に関するトラブル
上記とは逆のケースですが、家族葬にするつもりで小規模な葬儀に合わせた式場を選んだものの、多くの人に訃報が伝わり、通夜や葬儀に多くの人が参列し、想定以上の規模になってしまうこともあります。
対策: 自分が亡くなった時に必ず葬儀に呼んで欲しい人を決めておき、エンディングノートなどに記録しておくと良いでしょう。
3. 葬儀社とのトラブル
葬儀社とのトラブルは、サービス内容や料金に関するものが殆どです。
- 費用に関するトラブル
インターネットで調べた葬儀社のウェブサイトに掲載されていた葬儀プランが安いので選んだが、実際に葬儀をしてみたら、そのプランだけでは葬儀を出すことはできず、追加費用が次々と発生することで、最終的な費用がウェブサイトで見た価格より大幅に増額してしまうことがあります。
対策:葬儀社に問い合わせる際は、プランに含まれる物品・サービスや追加費用の有無を詳細に確認したうえで、プランだけではなく実際にかかる費用について具体的に見積作成を依頼しましょう。また、事前に複数の葬儀社に相談し、見積を取り、その内容を比較検討することをお勧めします。 - スタッフの対応への不満
葬儀の際、スタッフの不慣れや失礼な態度に不満を抱くことがあります。これにより、遺族が精神的な負担を感じることもあります。
対策: 葬儀社を選ぶ際に口コミや評判を参考にすることが重要です。また、契約前に具体的な対応内容を確認し、不安があれば事前に相談しましょう。
4. 家族や親戚間でのトラブル
葬儀は家族や親戚が集まる場であるため、感情的な衝突や意見の対立が生じやすい場面でもあります。
また、家族や親戚など身内同士となると、遠慮のない物言いをしてしまうことから、もめ事が酷くなることもあります。
- 葬儀費用の負担を巡る対立
基本的に葬儀の費用は喪主が支払うものとされていますが、状況によっては遺族が分担することもあります。その際に誰がどれぐらい負担するかで、家族間の関係性からもめることがあります。
対策: 葬儀費用は相続財産から控除できることもあり、遺産相続とも関係があるので、事前に家族で話し合っておくとトラブルを未然に回避できます。 - 家族・親族間の意見の相違
葬儀の形式や進行について家族の中で意見が異なり意見が対立することがあります。例えば、喪主は故人の意向を受けて無宗教の葬儀を希望しているが、親戚は菩提寺を呼ばない葬儀に難色を示す、といったケースです。
対策: 事前に家族・親族に葬儀の意向を伝え、合意形成を図ることが大切です。もし、葬儀について希望があるのであれば、エンディングノートに記録するとともに、その内容を家族に共有しておくことをお勧めします。
葬儀に関するもめ事やトラブルの多くは、関わる人々の誤解や事前の準備不足、コミュニケーションの欠如から発生することに起因します。
特に首都圏では、価値観やライフスタイルの多様化が葬儀にも影を落としており、関わる人々の間で葬儀に対する認識が異なることが多く、問題が複雑化する傾向にあります。
葬儀のトラブルを未然に防ぐためには、事前の情報収集や家族間での話し合いが不可欠です。
葬儀を円満に進めるために、ぜひこの記事を参考にして、落ち着いて考えられるときに葬儀について考えてみてはいかがでしょうか。
また、葬儀の専門家である葬儀社に事前に相談することも、トラブルを未然に防ぐうえで有効です。
東証スタンダード市場に上場している株式会社ニチリョクでは、葬儀の事前相談をいつでも承っています。
具体的な葬儀の相談ごとがある方はもちろん、葬儀の準備についてすべきことや、葬儀に必要なことなど、基本的なことについてもお気軽にご相談ください。